Synchronicity
ベンガルトラ“リチャード・パーカー”の
名前をめぐる驚愕のシンクロニシティとは?
本作に登場するトラのリチャード・パーカーという名前をめぐっては奇妙な元ネタがある。リチャード・パーカーとは、エドガー・アラン・ポーが1837年に発表した唯一の長編小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」の登場人物のひとりと同じ名前なのだ。この小説は海を漂流中に食料が尽きた4人の男が、“いけにえ”となるひとりをクジで選ぶという恐怖物語。その結果、仲間に食べられるはめになった哀れな船員がリチャード・パーカーだった。

そしてポーの小説発表から47年後の1884年、“ミニョネット号事件”と呼ばれる摩訶不思議な事件が実際に起こった。イギリスからオーストラリアに向けて航海中のミニョネット号が難破し、乗組員4人は救命ボートで脱出。漂流20日目、衰弱した最年少17歳の乗組員が殺害され、他の3人の食料となった。生き残った3人は後日、裁判にかけられたが、何と殺された少年の名前はリチャード・パーカーだった。
まさに驚くべき歴史上のシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)。このエピソードを念頭に置いて映画を鑑賞すると、新たな受けとめ方が浮かんでくるかもしれない。