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「『TIME/タイム』にとって最大のチャレンジは、“どうやってこの世界観を観客にアピールするか?”ということだった」プロデューサーのエリック・ニューマンは語る。「監督と脚本を手がけたアンドリュー(・ニコル)は、台本の最初の3ページでそれを見事にやってのけたんだ。主人公のウィルが目を覚まして部屋に入っていくと、そこには25歳の美女がいて、彼は『母さん、おはよう』と言う。彼の左腕にはデジタルのカウンターがついていて、その数字は刻一刻と減っている。彼の母親は、その日のランチのために自分の余命時間からウィルに30分を与える。そこで観客はすぐに、ウィルの余命がもう22時間しかないことを悟るんだ。見た目は同じ年齢に見えても、彼女は間違いなくウィルの母親なんだよ」 登場人物全員が“肉体的に25歳以上にならない”という本作の重要な設定を実現するための俳優探しは、簡単な仕事に思えるかもしれないが、実はそうではなかった。人物の見かけは25歳でも、精神はもっと歳をとっていて、40代、50代、60代、中には100歳を超える場合もある。それをメイクや特殊効果、CGなどを使わずに、演技を通して伝えなければならなかったからだ。
「役者は全員、25歳前後に見える必要があった。このストーリーでは、その年齢で、老化遺伝子のスイッチが切れるんだ」と語るアンドリュー。彼がこの年齢を選んだのには、明確な理由があった。「人間はその年齢で脳の前頭葉が成長を遂げ、完全に成熟するんだ。前頭葉というのは衝動や無謀な行動をコントロールする脳の一部のこと。25歳以下の人には車を貸さないアメリカのレンタカー会社は、この点をよく分かっているね。劇中には100歳になっている登場人物も出てくるから、実年齢以上に“大人びた”アクターを見つけなければいけなかった。25歳の体で老人を演じられる能力を持つ若いアクターは限られているんだ」。