INTRODUCTION
フィルムを3D変換するための“魔法の杖”は存在しない。3Dデータのないオリジナル映像からすべてを作成しなければならないんだ。だから今回の3D版は、「もし最初から3Dで撮影していたら、こうなったはずだ」という見かけにしたいと思っていた。私が3D変換を手がけるのであれば、この点だけは譲れない。3Dの映像はゴージャスで、いきいきとしていて、観客はあの豪華客船の眩い船上にいるような気持ちになるだろう。あるいは、ジャックとローズが囚わ れている危険を一緒に体験している気分になるかもしれない。例えば今回の3D化作業では、ケイト・ウィンスレットの髪の毛一本一本に手を加えなければならなかった。
ピクセル・レベルまで拡大しなければならなかったし、アウトラインも必要だった。ロトスコープ処理をしたメッシュを足すことで、ボリュームを増やす必要もあった。それらはとても複雑なプロセスで、その後、前に戻って失われた部分に色を塗らなければならなかった。想像してみてほしい。物体を3Dで見るということは、右目は物体の右側の部分を少し多く見ていて、左目は物体の左側を少し多く見ていることになる。これを視差と言い、奥行きの幻影が見える理由だ。オリジナルの写真の情報が入っていない物体の場合には、それを新しく創り、入れなければならないんだ。